待っているだけの営業から、お客さんに思い出してもらう営業へ

飲食店は店を開けて待つだけでは、お客さんに忘れられてしまうことがあります。LINE公式アカウントで新メニュー、季節限定、空席情報などを届け、再来店のきっかけをつくる考え方を解説します。

経営コンサルタントとして個人飲食店を支援していると、「店を開けてお客さんが来るのを待つ」だけになっている店をよく見かけます。もちろん、毎日きちんと店を開け、料理と接客を整えることは大切です。

ただ、お客さんは日々たくさんの店や情報に触れています。一度来てくれたお客さんでも、何も接点がなければ、次に外食を考えるときに思い出してもらえないことがあります。LINE公式アカウントは、そんなお客さんにもう一度お店を思い出してもらうための接点になります。

この記事でわかること

  • 待っているだけの営業では再来店の機会を逃しやすい理由
  • LINE公式アカウントでお客さんに思い出してもらう考え方
  • 新メニューや空席情報を売り込みに見せない発信の工夫

お客さんは悪気なくお店を忘れてしまう

常連さんであっても、毎日お店のことを考えているわけではありません。仕事が忙しい、家族の予定がある、別のお店を見かけた。さまざまな理由で、来店のきっかけは自然に薄れていきます。

支援の現場で感じるのは、店主が「また来てくれるはず」と思っている一方で、お客さん側には思い出すきっかけが少ないということです。料理に満足していても、次の来店タイミングが生まれなければ、関係は少しずつ遠くなります。

再来店には、思い出すきっかけが必要

お客さんは店を嫌いになったわけではなく、日常の中で思い出すタイミングを失っているだけのことがあります。

LINEは売り込みではなく、来店のきっかけを届ける場所

LINE公式アカウントを使うと聞くと、「メッセージを送ると嫌がられそう」と感じる店主もいます。その感覚は大切です。お客さんの都合を考えずに何度も配信すれば、売り込みに見えてしまいます。

大切なのは、店が言いたいことを一方的に送るのではなく、お客さんが「ちょうど行きたい」と思えるきっかけを届けることです。新メニュー、季節限定メニュー、空席情報、雨の日の案内などは、タイミングが合えば来店の後押しになります。

届ける情報お客さんに生まれるきっかけ
新メニュー次はこれを食べてみたい
季節限定メニュー今のうちに行っておきたい
空席情報今日なら入りやすそう
平日限定の案内混雑を避けて行けそう
店休日や営業時間の案内行く前に確認できて安心

このように考えると、LINEは売り込む道具ではなく、来店前の小さな声かけになります。

発信する前に「誰に何を思い出してほしいか」を決める

LINE配信で大切なのは、頻度よりも目的です。何となく送るのではなく、誰に、何を知ってもらい、どう動いてほしいのかを先に考えます。

たとえば、平日の夜が弱いなら「仕事帰りに寄れる一品」を知らせる。雨の日に空席が出やすいなら「本日ゆっくり入れます」と伝える。季節メニューを出したなら、写真と一緒に短く知らせる。発信の目的がはっきりしていると、内容も押しつけにくくなります。

配信しすぎるより、役に立つタイミングを選ぶ

お客さんにとって意味のある情報を、必要なタイミングで届けることが、LINE公式アカウントを続けやすくするポイントです。

まずは1つ、思い出してもらう情報を送ってみよう

最初から完璧な配信計画を作る必要はありません。まずは、お客さんが来店を考えやすい情報を1つ選んでみてください。新メニューの紹介、週末の空席、季節の料理、営業時間の案内など、日々の営業の中に材料はあります。

反応が大きくなくても、すぐに失敗と決める必要はありません。経営に絶対の正解はないからこそ、送ってみて、反応を見て、少しずつ改善していくことが大切です。

LINE公式アカウントは、すでに来てくれたお客さんへの再接触に強いツールです。一方で、まだ一度も来たことのない新規客との出会いを生むのは、ホームページやGoogleマップです。LINEで「また行こうかな」と思い出してもらい、ホームページで「やっぱりここにしよう」と背中を押す——この両輪が揃うことで、情報発信はより機能します。

待っているだけでは、お客さんに思い出してもらう機会は増えません。まずは1つの接点を整え、少しずつ発信の土台を広げることが、個人飲食店の情報発信を続けやすくする第一歩です。

石崎 一之進
この記事を書いた人
石崎 一之進(中小企業診断士)

経営コンサルタントとして中小企業のAI活用、IT導入、マーケティングの支援をしています。数々の事業者を支援する中で気づいたこと、他の飲食店の方に知ってほしいことを書いています。

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