経営コンサルタントとして個人飲食店を支援していると、日々の営業に追われて原価率や人件費率を確認できていない店主に多く出会います。数字を管理するのは難しいというイメージがあるかもしれませんが、この2つを見るだけでも、お店の弱点はかなり見えやすくなります。
飲食店の利益を大きく左右するのは、原価と人件費です。食材費が少しずつ重くなったり、忙しさに合わせて人員を増やしたりすると、売上があっても利益が残りにくくなります。
この記事でわかること
- 原価率と人件費率が飲食店の利益に与える影響
- 数字を見ることで見えてくる店の弱点
- メニュー、仕入れ、シフトを見直す基本的な考え方
原価率を見ると、メニューの負担が見えてくる
原価率は、売上に対して食材費がどれくらいかかっているかを見る数字です。料理がよく売れていても、食材費が重ければ利益は残りにくくなります。
支援の現場では、「人気メニューだから安心」と思っていた料理が、実は原価の負担が大きいというケースを見ることがあります。売れているメニューほど、利益への影響も大きくなります。
原価率を見ると、価格を見直すべきか、盛り付けや食材の使い方を工夫するべきか、仕入れ先を確認するべきかが考えやすくなります。
売れているメニューほど、原価率を確認する価値がある
人気メニューは店の強みですが、原価が重すぎると忙しさの割に利益が残らない原因になります。
人件費率を見ると、働き方の無理が見えてくる
人件費率は、売上に対して人件費がどれくらいかかっているかを見る数字です。人手不足の中で、スタッフを確保することは大切です。ただし、売上に対して人件費が重くなりすぎると、利益を圧迫します。
人件費率を見ると、どの曜日や時間帯に人員が多いのか、忙しさとシフトが合っているのかを確認できます。感覚では「必要な人数」と思っていても、数字で見ると一部の時間帯だけ負担が大きいことがあります。
| 見る数字 | 確認できること |
|---|---|
| 原価率 | 食材費が重いメニューや仕入れの負担 |
| 人件費率 | 売上に対して人員配置が重くないか |
| 客数 | 忙しさの実態 |
| 客単価 | 注文内容や価格設定の状態 |
| 時間帯別売上 | シフトと売上のずれ |
数字で見ると、勘だけでは気づきにくい改善点が見えてきます。
数字を見ることは、店を責めることではない
原価率や人件費率を見ると、「もっと削らなければ」と考えてしまう店主もいます。しかし、数字を見る目的は、ただ費用を削ることではありません。
食材の質を落としすぎれば、店の魅力が失われます。人員を減らしすぎれば、接客や提供スピードに影響します。大切なのは、店の良さを守りながら、どこに無理が出ているかを把握することです。
数字は削るためだけでなく、守るためにも使う
原価率や人件費率を確認することで、料理の質、接客、利益のバランスを考えやすくなります。
まずは主力メニューと忙しい時間帯から見直そう
最初からすべての数字を細かく見る必要はありません。まずは、よく売れている主力メニューの原価と、忙しい曜日・時間帯の人件費を確認してみてください。
主力メニューの原価が重いなら、価格、仕入れ、提供方法を見直す余地があります。忙しい時間帯の人件費が重いなら、予約の取り方、仕込みの段取り、シフトの組み方を考え直せます。
原価率と人件費率は、難しい会計用語ではなく、店の状態を知るための点検項目です。
ただ、何を優先して見直せばいいか判断に迷う場合は、自分一人で抱えないことも大切です。自分の時間を使って取り組むか、外部のパートナーに相談するか——どちらの選択肢も、「動かない」より必ず前進します。数字を見る習慣を持ち、必要に応じて議論できる相手を持つことが、利益を残す個人飲食店の経営改善につながります。